「インプロビゼーション」という言葉を知っていますか?
いわゆる「即興」という意味の言葉で、ルールにとらわれずその場の思いつきで自由に表現することをいいます。
調べてみるとさまざまな業界で使われている言葉だということが分かりました。
この記事では、インプロビゼーションがどのようなもので、どんな風に活用されているのかをまとめました。
インプロビゼーションの意味とは
即興といえば音楽をイメージする方が多いと思いますが、実はさまざまな分野で活用されています。
主に以下の業界で利用されています。
- 音楽
- 踊り
- 演劇
- 美術
- ビジネス
これだけの業界でインプロビゼーションが使われているんですね。特にビジネスの現場で活用されているのは意外でした。
自由な発想を育てるという意味では、いろんな分野に応用できるということが分かります。
この記事では、インプロビゼーションについての詳細と、どんな業界でどのように活用されているのかを見ていきます。
アドリブとの違いとは
自由な発想という意味では、アドリブも似たような意味だとされています。
ドラマなどで台本にないセリフを言ったり、ニュースで原稿がない現場に出ているリポーターなどの仕事もアドリブといえます。
インプロビゼーションとアドリブははっきりと区別されず、同じような意味で使われることが多いですが、厳密には意味の違う言葉です。では2つの言葉の違いとは何なのでしょうか?
はっきりとした違いとして、自由度の差が挙げられます。
例えば、ドラマのアドリブの場合、基本的な役の設定の中で演技します。ニュースリポーターも同様に、現場で起こった出来事に対しての発言しか許されません。
それに比べてインプロビゼーションは、頭に浮かんだ物を自由に表現してもよいということです。ルール無用で自由度が高く、文字通り何をしてもよいというところが大きな違いです。
音楽の世界では
それではインプロビゼーションが活用されている業界について順番に見ていきましょう。
まずは音楽業界です。音楽のインプロビゼーションといえば即興演奏です。
音楽におけるアドリブは決まったコード進行に合わせて、音のフレーズを規則に沿って作る作業です。ある程度の自由は許されますが、音楽の法則に沿ったものでなければいけません。
それに対してインプロビゼーションの音楽は、思いついたメロディーをそのまま何も考えずに演奏します。譜面すら見ないので、その演奏からまったく新しい音楽が生まれる可能性もありますね。
音楽のアドリブは元となった曲の原型があるのに対して、インプロビゼーションの曲は元となる音楽がそもそも存在しません。
踊りの世界では
踊り(ダンス)でもインプロビゼーションが活用されています。
体を使って表現するダンスでのインプロビゼーションにはさまざまな効果が期待できます。
- 体の可動域が広がる
- 想像性が身に付く
- 振付のパターンが増える
- 頭の回転が速くなる
通常のダンスレッスンでは、音楽に合わせて振付を踊っていくものです。インプロビゼーションでは、自分のなかでルールを決めて動きを作っていくことが目的となります。
普段使わない筋肉を動かしたり、新しいアイデアを思いつくきっかけとなるので、行き詰ったときは自由な発想で動いてみるのもいいかもしれません。
演劇
演劇の世界でもインプロビゼーションが取り入れられています。特に盛んなのが欧米です。
インプロビゼーションの演劇は、リハーサルや台本がなく、その場で芝居を作ります。観客へのインタビューから聞き出した言葉をきっかけに物語を始めることもあるでしょう。
前もって決められたあらすじもないので、先がどうなるのか全くわからないなか、演者がお互いを受け入れあい感化されながらストーリーを生み出していくのです。
こういった経験を重ねると本番で緊張しなくなったり、何が起きても落ち着いて行動できるなどのメリットがあります。メリットのあるインプロビゼーション演劇ですが、誰でもできるわけではありません。演劇を成立させるには、高い表現力を持っていることが前提条件となります。
美術
美術の世界でのインプロビゼーションとは、常識にとらわれない自由な発想での表現力です。下書きなしで絵具をぶちまけるようなこともインプロビゼーションの範疇です。
下書きを書いてから仕上げるのが本来の工程だとすれば、ぶっつけ本番で思いのままに筆を走らせ、何ができるのか本人ですら分からないというのがインプロビゼーションといえるでしょう。
複数の絵具を混ぜて、平面にこぼすことで生まれる模様を作品とする場合もインプロビゼーションの一種になりますね。
ビジネス
インプロビゼーションはビジネスの現場にも、研修として導入する企業が増えています。なぜこんなことが起きているのでしょうか?
ビジネスにおけるインプロビゼーションのメリットは以下の通りです。
- 柔軟な思考力が身に付く
- 総合力が育つ
- 本番に強くなる
- 集中力が発揮できる
- アイデア出しが上手くなる
仕事をするうえで、マニュアル通りでは対応できないこともありますよね。相手の発言に対して、自分の頭で処理して適切な言葉を返す。という情報処理がリアルタイムに必要です。こういったことを訓練するためにインプロビゼーションが取り入れられているのです。
インプロにも多様な形がある
インプロビゼーションにはさまざまな活用法があることが分かりました。同じことの繰り返しの常態から、新しいアイデアを生み出すために利用されていました。物事に対して柔軟に対応するためには、型破りな行動も必要になるでしょう。
従来のマニュアル的なルールはそのままに、新しいルールを作るためにインプロビゼーションが活用されています。皆様の身の回りにも似たようなものがないか探してみてください。
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